【スタッフ日記】無用之用
皆様こんにちは、安ちゃんです。
ワタクシ、自分の人生で大きな影響を受け、尊敬する方が何人か居られます。
その最初の方が、18歳で学生アルバイトをしていたラーメン屋さんの店長です。当時32歳くらいだったと記憶しています。
当時、若気の至り、世間知らずで井の中の蛙の癖に”世界征服も夢じゃない!”と勘違いしていた青二才の傲慢野郎だったワタクシは、非常に気が短く利己的で、少しでも何か自分が気にくわないと、仲間のスタッフはおろか、お客さんとも喧嘩をして傍若無人にふるまうロクデナシでした。
何故か、そんなワタクシをクビにする事も無く、面倒を見て頂いた店長から、ある日『無用之用』という言葉を教わりました。
「お前は自分一人で生きてると大きな勘違いをしている。」と。。。
「お前は、道路の白線の上を走れと言われれば、何十メートルでも難なく走ることが出来るだろう。」
「ところが、白線と同じ幅の平均台だったらどうだ?何十メートルも躊躇なく走れるか? どうだ?」
「実は、お前が意識していない、道路の白線以外の部分。お前が普段必要だとも思っていない、見えていない周りのお陰があって初めてお前は走ることが出来ている。」
「無用之用っていうんだ。自分にとって用が無いと思っているモノや人に支えられてるということをちゃんと理解した方が良い。」
ロクデナシながらもピュアな心を併せ持っていた青い2歳児レベルだったワタクシは、この例え話にピンと来て、五臓六腑、いろんな腑に落ちてしまい、それからことある毎に「無用之用」を思い出す人生を歩んでいます。
いまワタクシがこんなに謙虚で穏やかで出来た人間として存在しているのも、ひとえに店長のお陰なのです。笑
その店長と先週、数十年ぶりに電話で話をしました。現在、認知症と闘っており「情けないことに過去に付き合いがあった人間は、お前ともう1人、たった2人以外は誰のことも思い出せないんだよ。」と言われました。余程手の掛かるロクデナシっぷりだったのか、37年前のアルバイト学生だったワタクシを覚えてくれていることに感動と驚きがありましたが、それ以上に、過去の人生で関わった人達について誰も思い出せないという意味、その悲しさと辛さを非常に重く感じました。
近いうちに人生の恩人である店長に会いに行こうと思います。